希望配属先は決まった?配属決定までに知っておきたい、部署別の看護師の業務内容を紹介します!【中央診療部門:手術部 ICU ER編】

ナース全般

前回の記事で、病棟ナースさんのお仕事については何となくイメージができたよ!
新卒で採用される可能性のある部署って、他にもあるの?

新卒ナースさんなら病棟に配置されることが圧倒的に多いです。
でも、数は少ないけれど新卒から中央診療部門に配置される人もいますよ!

配属決定前に部署別の業務内容を知っておくべき理由と、外科病棟・内科病棟それぞれの業務内容に関してお話した前回記事は、こちらです。

この記事では病棟に続き、新卒看護師さんでも配属される可能性のある中央診療部門の業務内容について、お話していこうと思います!

中央診療部門とは?

総合病院には、診療科と中央診療部門がある

前回の記事で紹介した「病棟」には、消化器外科や呼吸器内科といった、「診療科」の患者さんが入院されています。
病棟によっては複数の診療科病床をもっていることもありますね。

中央診療部門は、そのすべての診療科と関わり、診断・治療・検査等の診療支援を行っています。大きな規模の病院では、以下のような部署を総称して「中央診療部門」と呼ぶことが多いです。

  • 手術部
  • 放射線部
  • 集中治療部
  • 検査部
  • 病理部
  • 内視鏡部
  • 輸血部
  • 救命センター
  • 外来

等々、病院によってはさらに細分化していたり、新しい部署ができている場合もあります。

検査部では臨床検査技師さん、放射線部では放射線技師さんなど、それぞれ部署でそれぞれの専門家が働いています。
あまり馴染みのない部署も多いですが、病院や施設によっては看護師が配置されているところもあるんですよ。

学生時代に学んだり、実習で実際に見たりする機会が少ない

学生時代に、中央診療部門での看護師の役割や業務内容について、詳しく知る機会のある学生さんは、どの程度いるでしょうか?
講義や演習、実習でもほとんど時間が割かれていませんよね。
また、看護師を志した時から中央診療部門に含まれる部署で働くことを目指している方も、ごく少数だと思います。

前回の記事でもお話しましたが、自分がこれからやっていく仕事がどんなものなのか、想像していたものと現実とのギャップが大きいと、リアリティショックに陥りやすくなります。

だからこそ、新卒でも異動でも、中央診療部門に異動した時には、リアリティショックがより起こりやすいのではないか、と私は考えています。

私は、病棟からオペ室へ異動した時、かなりリアリティショックが大きかったです…

総合病院に就職し、病棟配置を希望している学生さん・新卒さん、もしかすると中央診療部門配置の可能性もゼロではないかもしれません。
この記事を読んで、中央診療部門の業務内容について、少しだけでも知ってイメージを持っておきましょう!多少はリアリティショック予防になると思います。

もしかしたら、今まで知らなかっただけで、自分の興味のありそうな分野や働き方が実現できる部署もあるかもしれませんよ♪

手術部 オペナース

勤務形態

手術は、ほとんどの病院において、平日8~17時の、病院の営業時間内において行われています。
そのため、オペナースの勤務も、基本的にはカレンダー通りの出勤・休日がベースとなっています。

しかし、病院によっては、時間外の緊急オペを受け入れなければならないこともあります。
緊急オペに対応するために、手術室にも遅出・夜勤ナースが勤務している病院や、当番が決まっており家で待機していて、オンコールで呼び出される病院もありますよ。

業務内容

オペ室での業務内容は、大きく直接介助(器械出し)看護師、外回り看護師の2種類に分けられます。
1件のオペに、それぞれの役割の看護師が1人ずつ付く形になります。

直介なら直介だけ、外回りなら外回りだけするというわけではなく、手術部に配属されれば、日やオペによってどちらの役割も経験することができます

直介や外回りとして付いていたオペが終わって患者さんが退室した後や、その日オペに付いておらずフリーだった場合には、他の部屋でまだやっているオペの外回りのお手伝いをしたり、終わった後の部屋の片づけ、次のオペの準備をしたりもします。

室内準備は、オペナースの重要な役割です。
術式や体位、患者さんの状態によって、必要な器械やベッドマットなど、必要なものを揃えていきます。
同じ術式や体位でも、それを受ける患者さんは一人ひとり違います。患者さんの状態をアセスメントし、個別性を考えて準備・実施することが大切です。

以下、直介と外回り、それぞれの業務内容について説明していきます。

直接介助(器械出し)看護師

ドラマでよく見る、医師に「メス!」と言われてメスを渡す看護師、あれが直介看護師です。
医師とともにガウンを着て「清潔」になり、麻酔をかけられて眠っている患者さんのベッドのそばに立って、医師に必要な器械や物品を渡していきます。

診療科や手術によって使用する器械や糸針・材料は異なり、それも何百種類もあるため、始めは物品の名前や使用方法を覚えることで精いっぱいになってしまうかもしれません。
清潔・不潔の認識が甘かったり、器械を出すのに必要以上に手間取ってしまうと、医師や外回りから厳しい指摘が飛んでくることもしばしば。手術中は、かなり強い緊張状態が続きます。

しかし慣れて手術の展開がわかり、次に必要な器械が何か予測できるようになってくると、医師に「メス」「ペアン」などと言われる前に持っておいて、すぐに渡せるようになってきます。

自分が手術のスムーズな進行に貢献できていると感じられる時は嬉しく、オペって楽しい!と思えますよ!

全診療科のオペを間近で見ることができるのは、直介看護師の特権ですよ!

上述した「清潔・不潔」に関しては、下の記事でご紹介しています。

外回り看護師

外回り看護師は、手を洗い清潔になるわけではなく、医師と直介が手術台そばに立って手術をしている周りで、文字通り「外回り業務」を行う役割を担っています。

麻酔科医師の挿管介助、患者さんの体位どり、褥瘡予防・神経損傷ケア、手術中の記録、抜管時介助、病棟への申し送り等々…外回りは大忙しです。
手術は、仰臥位だけでなく、術式によっては側臥位や砕石位、腹臥位といった様々な体位で行われます。その中には、皮膚損傷や神経障害の生じるリスクが高い体位もあります。
麻酔で眠ってしまった患者さんは、痛みや痺れを自分で訴えることができません。外回り看護師は、そういった患者さんの代弁者となり、褥瘡や神経障害を予防できるよう、あらゆる視点で観察・介入を行っていきます。

手術が患者さんにとってなるべく安楽に、より安全で合併症を引き起こさず終われるかどうか、外回り看護師の腕にかかっています

また、術前には外回りとして担当する患者さんへ術前訪問へ行き、手術の流れや生じうるリスクについて説明したり、術前の不安を聞いて解消できるよう働きかけたりすることも重要な役割です。

当サイトを運営している筆者は現役オペナースとして手術部に勤務しています。
オペ室に興味や魅力を感じていただけたら、ぜひこちらの記事も覗いていってください。

救急救命 ERナース

総合病院は夜間ウォークインの救急外来を設けていたり、救急車やドクターヘリを受け入れている場合がほとんどです。日本の救急医療体制では、救急の患者さんを受け入れる「救急指定病院」を、機能別に以下の3つに分類しています。

  • 一次救急:手術や入院の必要がなく帰宅可能な軽症患者に対して行う救急医療。患者は自分自身、もしくは家族などに付き添ってもらって来院する。
  • 二次救急:手術や入院を必要とする重症患者に対して行う救急医療。通常、入院や手術を必要として救急車で搬送されるのは、この二次救急指定病院。
  • 三次救急:一次救急や二次救急では対応できない重症・重篤患者に対して行う救急医療。一次、二次救急では対応が不可能な重篤疾患や多発外傷患者が、救急車や、医師が同乗するドクターカー・ドクターヘリで運ばれてくる。

このうち、三次救急の指定を受けている病院には救命救急センター、ERが設けられている場合があり、重症・重篤患者が各病棟に振り分けられる前に検査や治療を行ったり、そのままセンターに入院して、病状の集中的管理を行ったりしています。

この項では、この「救命救急センター」「ER」で働く看護師の業務内容について説明していきます。

勤務形態

救命救急センターは24時間365日稼働しています。
そのため、病棟と同じく2交代や3交代などの交代制勤務、不定休で働く場合が多いです。

業務内容

救命救急センターには、外来と病棟、2つの側面があります。

救急外来

先述しましたが、 第三次救急を担っている救命救急センターには、次救急や二次救急では対応できない重症の患者さんが運ばれてきます。

心筋梗塞や脳梗塞、交通外傷から全身熱傷…、心肺停止状態で搬送されてくる患者さんもいます。
そういった場面で、ERナースは、医師とともに患者さんへの蘇生処置や、外傷の止血を行ったり、医師が行う挿管やルート類挿入などの処置介助を行ったりしていきます。
とても緊迫した現場です。救命処置や初療に、極めて迅速な対応が求められます。先輩ナースや医師からの指示を待っていられる場面はありません。今目の前にいる患者さんに何が必要か、チームメンバーは何をしているか、自分はどう動く必要があるかを考え瞬時に行動しなければなりません。

もちろん、どの分野の何の疾患、どの部位のどんな怪我の患者さんがいつ運ばれてくるか、全く予測がつきません。
幅広い分野の知識が求められます。

そのため、救命救急センターの病棟でしばらく経験を積んでから、外来業務に入ることが多いです!

また、さらに経験を積むと、ドクターヘリやドクターカーに乗って医師とともに事故などの現場へ向かう「フライトナース」を目指すこともできます。

救命救急病棟

救急外来で初療が終わった患者さんは、病棟に上がってきます。
初療が終わった時点で、救命救急センターにおける集中管理は必要ないと判断された患者さんは、救急外来から直接診療科病棟へ入院する場合もあります。
しかし心筋梗塞後PCIを施行された患者さんや、外傷で意識不明、挿管中でこの先オペを控えている患者さんなど、集中管理が必要であると判断された場合には、診療科病棟ではなく救命救急病棟に入院することになります。

つまり、救命救急病棟はICUと並んで病院イチ重症度の高い病棟です。
不安定な状態の患者さんの生命維持を助けるために、病棟では扱えない機器や薬剤が用いられていることも少なくありません。
患者さんは挿管されて人工呼吸器管理中であったり、補助循環が使用されていたり、骨折している足を牽引中だったり…。体位交換をするだけで容易にバイタル変動をきたすことも多くあります。
ERナースは、そういった重症度の高い患者さんに対して、医師の指示のもと点滴投与や内服管理を行ったり、機器類の管理を行ったり、清潔ケアや食事介助といった身の回りのお手伝いを行っていきます。

救命救急病棟には、ショックなどの急変に陥る可能性がある患者さんも多く入院しています。ERナースには、そのような急変の兆候がないかキャッチするための観察力や、集中管理を行うための専門的知識、的確な判断力と瞬時に動ける行動力が必要です。

急性期中の急性期が学べる、まさに最前線、命の現場とも言える救命救急センター。大変なことも間違いなく多いですが、ここで経験を積めれば、急変や重症度の高い患者さんへの看護など難しい場面で力を発揮できるようになるでしょう。

集中治療室 ICUナースの業務内容

勤務形態

ICUも、病棟と同じく24時間365日稼働しているので、2交代や3交代などの交代制勤務です。

業務内容

集中治療室=ICUは、ERと同じく重症度の高い患者さんを受け入れる部署です。
ERの救命救急病棟が、救急外来から上がってきた重症患者さんを受け入れているのに対し、ICUでは院内の手術室で心臓や消化器など侵襲の大きいオペを行われた術後の患者さんや、院内急変でショックバイタルになった患者さんなどを受け入れている場合が多いです。
救命救急病棟と比べて病床数も少なく、病院や施設によって異なりますが6~10床ほどです。

病棟と比べ、一患者さんに対し配置されている看護師の割合が多いです。
個室などで区切られておらず、広い一部屋をカーテンで仕切ったスペースに、ベッドが置いてあります。
病院や施設によって異なりますが、中央にあるステーションから全てのベッドに目が届くようになっており、何か起こった際には一瞬で駆け付けられるようになっています。

ERの項でも述べましたが、ICUもERと並んで病院随一の重症度を誇る部署です。
バイタル変動をきたしやすい重症患者の状態安定をめざし、24時間体制で管理します。
ICUに入床中の患者さんの病態は、主科の診療科医師とともに麻酔科医が管理しています。ICUナースは、モニターや検査値、フィジカルアセスメントも用いて患者さんの状態を注意深く観察し、異常があれば医師に報告、必要な処置や介助を行っていきます。

ICU入床中の患者さんは、AラインやCVカテーテル、スワンガンツカテーテル、補助循環のための機械のチューブなど、抜去してしまっては生命維持に関わるルート類が挿入されている場合も多くあります。
また、1日中モニターのアラーム音が鳴り響いており、24時間管理のために照明を落とせないといった非日常的な環境などからも、一時的に「せん妄」という意識精神障害をきたす患者さんも少なくありません。
こういった側面から、環境整備を行ったり、清潔ケアや食事介助で1日のリズムを作ることなども、ICUナースの大切な役割です。

人員配置や患者さんの状態からも病棟とは環境が異なる点が多くありますが、術後の集中管理やショック時の看護など、専門的な領域について多くのことを学べる部署です。

まとめ

今回は、病棟に続き、手術部・ER・ICUと、クリティカルな領域を担っている中央診療部門のナースの業務内容について紹介させていただきました。
今まで詳しく知らなかった部署、興味が出てきた部署はあったでしょうか?

下リンクの記事では、中央診療部門編第二部、放射線部と外来ナースの業務内容についてお話しています♪
こちらもぜひご覧ください!

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました😊

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