看護師って、病院中の色んな部署に所属して働いているんだね。
同じ看護師でも、それぞれに専門性があっておもしろいなあ。
そうなんです!
同じ総合病院に就職しても、働き方や業務内容も色々です。
病棟編、手術部・ER・ICU編にて、それぞれの部署でのナースの業務内容についてご紹介した記事はこちらです。
前回までの記事にて、それぞれの診療科病棟でみる患者さんや疾患が異なることはもちろんですが、中央診療部門ではさらに特殊な知識や技術が必要だったり、業務内容が全く異なることについて、知っていただけたと思います。
この記事では、手術部・ER・ICUに続く中央診療部門編、放射線部と外来についてお話ししていこうと思います。
放射線部ナースの業務内容
放射線部は、ERやICUよりも聞き馴染みの少ない部署かもしれません。
患者さんの診断、治療方法を決定するための検査を担っているだけでなく、実際に放射線を用いた治療を行うなど、多くの重要な役割を持つ部署です。
どの診療科も、必ず放射線部と関わるといっても過言ではありません。
具体的には、以下のような部門や部屋を含んでいます。
- レントゲン
- 血管造影
- PET-CT
- CT
- 超音波検査
- RI
- MRI
- 内視鏡
- 放射線治療
これらの部屋では医師や放射線技師が患者さんに対し治療・検査を行っています。
放射線部ナースは検査や治療に来る患者さんと関わりながら、医師や技師のサポートを行っています。
勤務形態
放射線部としては病棟を持たず、予定の検査や治療は平日8~17時の、病院の営業時間内において行われているため、放射線部ナースの勤務はカレンダー通りの出勤・休日です。
緊急、時間外で血管造影室で治療を行う場合には、ERナースが応援に来る場合もあります。病院によっては、放射線部のオンコールを設けている場合もあるかもしれません。
業務内容
患者さんの介助、観察
レントゲン単純撮影など、所要時間の短い検査では、患者さんが一人で行くこともありますが、
MRIやPET-CT、血管造影検査、放射線治療などでは、病棟看護師から放射線部看護師に申し送りをもらうことがあります。
- 循環動態や酸素化に注意する必要がある患者さん
- ADL介助の必要があり、移乗時に一人では転倒する可能性のある患者さん
- 閉所恐怖症やパニック障害で、検査に不安がある患者さん
など、放射線部で短時間関わる間でも、注意や配慮、観察が必要な患者さんがいます。
そういった情報の申し送りを看護師から受け、患者さんが放射線部で安全・安楽に検査や治療を受けられるようにしていきます。
病棟ナースから申し送りを受けた後は、患者さんの安全は放射線部ナースの責任!
移乗時の転倒・転落や、状態変化の兆候を見落とすことがないように、患者さんをしっかり観察・介助します。
造影剤の注意点
造影CTを行う際の末梢血管ルート確保は放射線部ナースの役目。
1日に何人ものルート確保をするので、CT室に行くと上達する…という声も。
また、造影剤を使う際には、アナフィラキシーショックに注意が必要です。
血管造影や造影CTで造影剤を使用する際には、事前に医師が患者さんから同意書をとります。注意が必要な薬剤であるためです。
軽度であれば、注入時の熱感、皮疹、皮膚のかゆみ、頭痛、くしゃみ程度で済みますが、
まれに重度なアレルギー症状、呼吸困難、血圧低下、意識障害などを引き起こすことがあります。
患者さんに、何か変わった症状があればすぐに教えてほしいと伝えておくこと、
異常が起きた時にすぐに気付けるよう常に患者さんを観察する視点が大事です。
放射線治療
がん患者さんの放射線治療も、放射線部で行われています。
放射線部では数少ない、看護師が患者さんと継続して関われる部門ですね。
照射部位の痛みや不快感が起こることもある、放射線治療。身体的だけでなく精神的な苦痛を抱いている患者さんもいらっしゃいます。
患者さんが放射線治療の必要性や安全性を理解し、納得して治療が受けられるように、治療前や治療中の説明や声掛けを行うことが重要です。
また、患者さんへセルフケアを促すことも大事です。
照射部位に行われるマーキングが消えないように注意することや、皮膚炎になった場合に患者さん自身が軟膏塗布などを行う必要があります。
病棟に戻った際や、自宅で生活する際にどのような点に注意する必要があるのか、苦痛な症状を和らげるために何を行えばいいかなど、患者さんの個別性を考慮して、セルフケアを支援していきます。
検査の介助
上記では患者さんとの関わりを紹介してきましたが、医師や放射線技師が行う検査・治療の介助を行うことも放射線部ナースの重要な役割です。
患者さんの体内に入るカテーテル類を清潔に保つ必要があったり、病棟では扱うことのない器械やデバイス類があったりと、特殊な知識が必要となる場面も多々あります。
オペ室と同様で、病棟とは全く違う分野の勉強が必要そうですね…
新卒で放射線部に配属されることはほぼありませんが、色々な診療科の患者さんの検査や治療に携わることができ、幅広い科の疾患や治療について知識を得ることもできる、やりがいのある部署です
よ!
外来ナースの業務内容
救急外来での業務内容はERの項でご紹介したので、ここでは一般外来で働くナースの業務内容についてお話ししていこうと思います。
勤務形態
外来は、病院の営業時間、診療開始から終了までの時間帯で患者さんを受け入れているため、
外来ナースの就業時間も夜勤無しのカレンダー通りである場合が多いです。
業務内容
規模の大きい病院であれば、外来もそれぞれの診療科ごとに分かれており、種類がたくさんあります。
内科外来、外科外来の中で、月曜日は循環器内科、火曜日は消化器内科、などで細分化している場合も。
外来ナースとして配属された後、どの診療科の外来で働くかは、施設や病院によって異なります。
内科外来ナース、外科外来ナースとして固定で働く場合や、日やシフト、人員によって異なる場合も。
病棟から外来用の人員としてスタッフが下りてくる場合もあります。
外来ナースは、診察室の中で医師の診察を介助したり、診察に必要なものを準備したり、採血や点滴を行ったりしていきます。
また、診察室に入る前に看護師から患者さんへ問診を行うこともありますが、外来には1日にとても多くの患者さんがいらっしゃるため、病棟と比べて一人の患者さんとの関わりにかけられる時間は短くなります。
限られた時間の中で、患者さんの既往歴や現病歴、生活の様子、現在出ている症状などについて情報を収集していきます。
そうして得た情報をもとに、患者さんが帰宅後の生活で、服薬や食事・運動療法などのセルフケアを行っていけるように、患者さん一人ひとりに合わせた介入を考えていくのも重要な役割です。
コミュニケーション力はもちろん、焦点を絞った情報収集能力が必要ですね
また、救急外来ではなくても、一般外来を受診してきた患者さんがその日そのまま入院治療が必要になる場合もあります。
その場合は、患者さんの状態や既往・現病歴、検査結果などを病棟ナースに申し送り、看護が継続できるように関わっていきます。
また、外来では患者さんを待合で待たせてしまう時間が長く、クレームに発展してしまうことも…。
対応を外来ナースがしなければならない場合もあります。クレームを未然に防ぐことができるように、接遇が重要視される部署です。
総合病院では、新卒で外来に配属されることはほぼありません。
夜勤がないため、産休・育休明けに外来勤務を希望するナースは多いですよ!
病棟で患者さんをみていた経験があれば、外来での問診や診察介助に大いに活かせると思います。
まとめ
学生時代から、希望配属を意識しておくということ
3編にわたって、所属部署ごとの看護師の業務内容についてご紹介してきましたが、いかがでしたか?
自分にはここが合いそうだなあ、ここで働いてみたいなあ、と思えた部署はありましたか?
記事で紹介した他にも、病院や施設によっては、HCUやNICU、IVRなどの部署や部門で看護師が働いている場合もあります。
希望を取られた部署に必ず配属されるとは限りませんが、
自分の中にこの科で働きたい!この分野に興味がある!という強い気持ちがあるのなら、採用時、人事に伝わるような自己アピールをしたいですよね。
そのためには、学生時代から、自分がどういった分野に興味があるのか、どういった働き方をしたいかなどについて、少しずつでも考えておくといいと思います。
所属部署は、QОLを大きく左右する…
働く病院や施設、部署によって、給与や休日、勤務形態まで全く異なる仕事、看護師。
自分がどんな看護師になりたいか、社会人としてどのように生活していきたいか、そのビジョンと全くかけ離れたところに配属されてしまうと、辛い看護師生活になってしまうかもしれません。
とはいえ、興味のある分野や部署に配属されることも大切ですが、人間関係の良好さも大切…!
就職を希望する病院に先輩がいたり、インターンで現場の看護師と話せる機会があれば、どの部署がおすすめか、管理者やお局さんで注意するべき人は誰か、などについて情報を得ておくといいかもしれません。
楽しく仕事ができて、なるべく高くQOLを維持して働くことができるための情報収集に、私のブログが少しでもお役に立てたら幸いです。
看護師はどこの部署に行っても大変なことが多いですが、その分やりがいのある仕事です!一緒に頑張りましょう😊
それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!