直介(器械出し)ナースってどんなお仕事?オペ1件における直介業務の流れについて解説します

オペナース

ドラマでドクターにメス!って言われてメス渡してる看護師さん、あれって難しいの?
言われたもの渡せばいいの?

難しいです!笑 ああ見えて、奥の深い仕事なんですよ~!

オペ室では「直接介助ナース」「器械出しナース」という役割があること、ご存じですか?
どちらも同じ、術野に立って医師に必要な器械を手渡す役割の看護師です。
言われたものを渡す、という点では間違いないのですが、それだけでは直介ナースの役割は務まらないのです。

この記事では、直介ナースがオペ1件につく際、どのような役割を担って働いているのか、患者さんのオペ室入室前・後から、退室するまでの流れに沿って解説していきます!

術前(患者さん入室前~麻酔導入)

患者さん入室前

オペ室では、1件のオペにつき、直接介助ナースと外回りナースが2人1組になって動きます。
患者さんの入室前には、直介ナースと外回りナースでブリーフィングを行います。

外回りナースが前日に患者さんのところへ術前訪問に行ったり、情報をとっていたりする場合が多いので、今日のオペで気を付けるべきことや、麻酔導入前や覚醒後に配慮する点などについて共有します。

直介だから術野以外のことは知らなくていい、というわけではなく、外回りナースと協力して患者さんの安全を守っていきます

部屋に物品の過不足がないかや、その日の術式で必要な器械、医師からオーダーされている滅菌物などがちゃんと揃っているかを確認するのは、直介ナースの役割です。
清潔野に出しておくべき器械が出ていなかったり、部屋に来ていなかったりすると、医師に怒られたり、外回りナースを倉庫まで走らせたりしてしまうことに…。
患者さんが入室してくる前に、しっかりチェックしておきましょう!

患者さん入室時

手術室入口で、麻酔科医師・外回りナースとともに患者さんを迎えます。
患者さん誤認や、術式間違いの予防のために、患者さんが着けているIDをしっかり確認します。
患者さんにも、ご自分でお名前と生年月日を言ってもらいます。

オペ室ナースはキャップにマスクで、どうしても表情がわかりにくくなってしまいますが、目元の表情や声色で患者さんにリラックスしてもらえるよう、明るく迎えます。

患者さんとお話できる、オペナースにとっては貴重な時間!
「昨日は眠れましたか?」「眠るまでに不安なことや聞きたいことがあったら、いつでも言ってくださいね」など、安心してもらえるように関わっています

患者さん入室後

外回りナースと協力して、患者さんが眠る前の準備を行っていきます。

オペ室入口から部屋まで患者さんを案内し、患者さんには手術台に横になってもらいます。
寝衣の紐をほどき、肌の露出がないよう掛物の下で寝衣を脱がせていきます。

心電図モニターパッチを貼付、SpO2モニタープローベを装着。モニタリングを開始。
末梢ルートを1本確保します。医師が穿刺する場合には、その介助や固定テープの貼付を行います。

手術を目前に控え、この段階で患者さんは極度の緊張状態です。
今何をしているのか、次に何をするのか、一つ一つ説明しながら準備を進めていきます。

末梢が確保できたら、患者さんはいよいよ眠る準備に入ります。
麻酔導入時に体動があった際ベッドから落ちると危ないので、手足を手術台に軽く固定します。
麻酔導入前に酸素マスクで酸素吸入をして体内酸素飽和度をできるだけ上げておき、麻酔科医師が鎮静剤を投与していきます。
呼名に反応がなく、睫毛反射もなくなったことを確認し、麻酔開始が筋弛緩薬を投与。
麻酔の導入が完了しました。

麻酔導入後

患者さんが眠った後は、外回りナースが主となって、麻酔科医師が行う挿管やAライン挿入の介助を行っていきます。
お手伝いの別のナースが来てくれる場合もあるので、体位取りなど患者さんのことは一旦お任せして、直介ナースは直介の準備へ。

診療科医に物品の確認

朝確認しておいた物品に加えて、清潔野に出す器械やディスポの材料を、診療科の医師に確認します。
糸針や、腹腔鏡手術時に使用するポート、ベッセルシーラーなどのデバイス類は、いくつも種類があり、科によって使用するものが違ったり、医師それぞれの好みがあったりします。
手術室で使用される物品はディスポでもとても高価なものが多いため、間違って開けてしまい滅菌をだめにして、破棄になると大変です。管理者に報告しなければならないことも…。

糸針ひとつでも数千円、組織を凝固・切開するデバイスだと1つで10万円近くすることも。
間違って開けると病院の損失になります。ディスポ物品の展開は慎重に…!

手洗いへ

直介ナースは器台整理を行わなければならないため、診療科医師より一足先に手洗いにいきます。
衛生的手洗いをして、滅菌されたガウン・手袋を装着し、「清潔」になります。

清潔野に関してはこちらの記事で解説しています。直介ナースの重要な役割についてここでもお話ししているので、ぜひあわせてご覧ください。

器台整理

医師に確認した器械・物品を、清潔にした器台に展開していきます。
器械に破損や汚染がないか、確実に滅菌されておりインジケーターの色が変わっているかを、しっかりと確認します。

術中は医師に言われたものをすぐ渡せなければなりません。
何をどこに置いておくか把握し、使用頻度の高いものは術野近くに、絶対に落としてはならない一点物の物品は器台中央に置くなど、工夫しながら器台整理をしていきます。

きれいな器台=できる直介ナースの証です!

そうこうしているうちに、外回りナースが患者さんの体位どりを終わらせ、手術を始められる準備が整ってきます。
直介ナースは診療科医師が手洗いに行き戻ってくるまでに器台整理を済ませ、消毒やドレーピングのスタンバイをしておきます。

術中(術野セッティング~閉創)

消毒 ドレーピング セッティング

患者さんの手術部位の皮膚をイソジンやヒビテンで消毒します。
消毒した後には、消毒し清潔になった術野以外をリネンで覆ってしまうように、ドレーピングを行います。
リネンは、手術部位や体位によって掛ける枚数・掛け方が異なります。手順をしっかり確認しておきましょう。

ドレーピングが終わったら、カメラや電気メス、デバイスのコード類や、ベッドに固定する開創器などのセッティングを行っていきます。
腹腔鏡や胸腔鏡などで使用するカメラには、何百万円もするものも!
術中に滑り落ちて破損でもしたら大変なので、テープや布鉗子を用いてしっかり固定していきます。

また、術野でコード類が絡まると執刀医の手技に悪影響を及ぼすことがあります。
それぞれが干渉しないようコードを整理するのも、直介ナースの仕事です。はじめのセッティングが重要なので、この時点で工夫して配置を行っておきます。

執刀開始 術中

セッティングが終了したら、いよいよ執刀開始です。
執刀医にメスを渡します。手術部位に皮切が加えられていきます。

ここがドラマでよく見る、「メス!」の場面ですね!

以降の手順は、科や術式、執刀医によって異なります
病院や施設によっては、一つ一つの術式が手順化されており紙面で印刷できる場合もあるので、事前に勉強しておきます。

直介ナースに必要なのは、術野を「先読み」する力です。
皮切が加えられて以降、今何をしていて次は何をするのか、何の器械が必要なのか、常に考え予測し、言われる前に準備しておきすぐに渡せるようにしておきます。

手術はテンポが大事!という医師もいます。「言われてから渡す」では、遅いのです。術野で進んでいる良いテンポを止めてしまうと、医師から檄が飛んでくることも…。

「先読み」できるようになるためには、器械の名称や使用方法だけでなく、その日扱う器官・臓器やその周囲の解剖整理、術式の流れを理解しておく必要があります。
また、術野では突然の出血や、臓器の損傷が起こることも。直介ナースはそういったリスクも予測しておき、必要な物品はすぐに渡せるように準備しておき、臨機応変に対応しなければなりません。

医師たちは術野に集中しており、手術中は、強い緊張状態が続きます。
初心者のうちは難しく感じるかもしれませんが、慣れて手術の展開がわかり、次に必要な器械が何か予測できるようになってくると、医師に「メス」「ペアン」などと言われる前に持っておいて、すぐに渡せるようになってきます。

段々と、「今なにをしているな」「次はこれが要るから持っておこう」とわかってくるようになります♪言われる前に渡せた時が快感です!!

閉創

手術が進行し、目標の腫瘍切除や再建が終了したら、閉創に入っていきます。
ここで使用する糸針も、診療科や医師によって種類が異なるため、医師に確認する必要があります。

また、お腹や胸を大きく開ける手術では、ガーゼや針、器械などの異物が体内に遺残しないようにチェックするのも、直介ナースの重要な役割です。
お腹を閉じた後に術後に遺残が発見された場合には、再開腹になってしまいます。重大な医療事故です。
遺残を防ぐために、医師と直介ナース・外回りナースとで協力してガーゼや針を何度もカウントし、確実に体外に出ていることを確認します。

創を糸針で閉じ終わり、指示されたドレッシング材を貼付したら、手術終了です!

「ありがとうございました~!」で手をおろして、医師たちと一緒にリネンを剥ぐ瞬間に、今までの緊張感がほどけます…!達成感がありますよ~!

術後(終刀~患者さん退室)

終刀 片付け 器械洗浄

ドレッシング材を貼付し終わったら、セッティングしておいたカメラや電気メスのコードを回収し、患者さんにかけていたリネンを剥がしていきます。
側臥位や腹臥位など、特殊な体位で行われる手術の場合には、医師と外回りナースと協力して患者さんの体位を仰臥位に戻していきます。
仰臥位に戻した後は、イソジンや血液で汚れた患者さんの身体をハイポエタノールや濡れタオルで綺麗にします。

直介ナースは、使い終わった器台の片付けも行っていきます。
使用した器械が紛失しておらずちゃんと揃っているか確認し、洗浄・再滅菌のために整えておきます。
業者さんが請け負ってくれるところもありますが、時間外や病院によってはオペナースが材料部に降りて器械の洗浄・滅菌を行わなくてはならない場合もありますよ。

抜管 退室準備

患者さんを仰臥位に戻した後は、麻酔を覚ます準備を整えていきます。
ここからは、主には外回りナースが麻酔科医師の介助を行っていきます。
麻酔科医師が吸入麻酔、もしくは静脈麻酔を切り、患者さんの自発呼吸を確認し呼びかけ、従命動作が確認できると抜管になります。
抜管直後には再挿管のリスクも高くなっています。直介ナースも外回りナースとともに患者さんが寝ている手術台の横に立ち、呼吸状態・循環状態に異常がないかしっかり観察を行っていきますよ。

抜管後の状態に異常がなく、麻酔科医師が病棟に帰っても大丈夫だと判断したら、退室準備を行っていきます。
直介ナースは要らないAラインや末梢ラインの抜去を行ったり、ドレーンの固定をし長さを確認したり、患者さんを手術台からストレッチャーに移乗して寝衣を着るのを介助したりします。

その間、外回りナースは最終的に病棟に申し送る記録を整え、麻酔科医師から使用した薬剤量などを確認したりしていますよ。

退室 送り デブリーフィング

病棟ナースが手術部入口までベッドと一緒にお迎えにきてくれたら、患者さんと医師とともに手術室を出ます。
外回りナースが病棟ナースに申し送りを行っている間、直介ナースは医師とともに患者さんを手術部ストレッチャーから病棟ベッドに移乗させます。

「お大事に!」でお見送りをします。
その後は外回りナースとともにデブリーフィングを行い、お互いの良かった点や、次回に向けての改善点についてフィードバックし合います。

これにて、オペ1件における直介ナースのお仕事は終了です。お疲れさまでした!

まとめ

直介ナースの仕事内容について、少しでも具体的なイメージを持っていただけたでしょうか?
診療科や医師によって使用する器械や糸針は異なり、術式も何百種類もあるため、始めは物品の名前や使用方法、術式の流れを覚えることで精いっぱいになってしまうかもしれません。

しかし、一度器械や手術の流れを覚えてしまえばパターン化できて、他の術式にも応用できるようになってきます。
全診療科のオペを間近で見ることができ、スムーズな手術の展開に自分が貢献できていると感じられる場面もあり、本当にやりがいを感じる仕事です!

この記事を読んで、直介ナースの仕事に少しでも魅力を感じて頂けたら嬉しいです!
オペナースの仕事について、不明点や気になることがありましたら、ぜひお問い合わせフォームよりご連絡ください♪

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました😌✨

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