病棟とオペ室、全く違う仕事じゃん!何もできないし、これまでの経験、無駄だったの?
何もできないなんて自分を責めないで!
病棟経験があることは、間違いなくあなたの強みです
前回記事ではネガティブなことばかりお話してしまいました…
この記事では、現役オペナースの私が実感した、病棟経験が強みとしてオペ室で活きる点について解説していきたいと思います。
オペ室勤務期間が長いと、わからないこと、忘れがちなこともある
前回記事でお話したように、オペ室と病棟では同じ看護師でも業務の内容が全く違います。
病棟経験しかないナースさんがオペ室のことをよくわからないのと同じように、
オペ室経験しかないナースさんもまた、病棟のことはよくわからないのです。
病棟経験は、オペ室において、オペナースが知らない、わからない、忘れがちなポイントでこそ活かせると思っています。
お互い協力して、分からない、苦手な分野を補い合えるといいですよね。
この目次項目についてはまた詳しく記事にする予定です。
病棟経験があるオペ室ナースの強み
考えつくだけ列挙して6つもありました。
オペ室に異動したばかりで自己肯定感が下がってしまい落ち込んでいる方も、これを読んでぜひ自信にして頂きたいです!
経験診療科の解剖・疾患・治療がわかる
オペ室異動後は、全診療科のオペにつくことになります。
毎日違う科の違うオペに入っている段階では、一つずつの診療科、疾患、治療について詳しく、より深く勉強することは難しく、どうしても広く浅く、といった情報のとり方になりがちです。
しかし病棟経験のあるナースさんなら、泌尿器外科で働いていたなら泌尿器の、呼吸器外科で働いていたなら肺の、心臓血管外科なら心臓の、脳神経外科なら脳の、解剖・疾患・治療がわかります。
あらかじめ一分野でも二分野でも、得意な臓器や疾患があるとするなら、それは大いなる強みです。
病棟で術前・術後を見ていたオペだとしたら、実際にオペを目にすることで間違いなくより理解が深まっていきます。
異動前に働いていた診療科のオペは、間違いなく異動ナースさんの得意科目になるはずです。
全ての診療科における幅広い知識を求められるオペナースですが、得意科目があれば、「婦人科オペのことはAさんに聞いたらわかる!」「明日の患者さん、不整脈あるみたい。術前訪問、Bさんに行ってもらおう!」など、頼りにされる場面も増えてきます♪
外科の経験がなく内科に特化した病棟にいたナースさんでも、
基礎疾患として糖尿病や不整脈を持っている場合に、注意するべきことや観察点がわかるのは、他の人にはない大きな強みです!
術前の準備がわかる
病棟でオペ出しをしていたオペなら、術前に患者さんがどのような準備や処置を行われているかを知っていますよね。
- 絶飲食の期間
- 剃毛のタイミング、範囲
- 医師から患者・家族に対して、どのようなICが行われているか
- 術前の点滴指示
などなど、まだたくさんあると思います。
私は内科病棟出身なので詳しくないのですが…外科病棟経験がある方は、ほぼ毎日ルーティンでやっていたことで、きっとお詳しいですよね!
病棟で術前にどのようにして準備や処置が行われているのか、それが手術にどのような影響を及ぼし、なぜ必要なのか、病棟・オペ室双方の視点で分かるのは強みです。
「今週の腸切の患者さん、病棟ではそろそろ絶飲食が始まっている頃かな?ちゃんと医師の指示が入っているか見てみよう。」
「そろそろ先生からのICがされてる頃かと思うけど、まだ同意書がカルテに反映されてないな。入室までにスキャンしてもらえるか、連絡した方がいいかな?」
「明日の冠動脈バイパスの患者さん、午後に術前訪問に行けば剃毛はもう終わってるかな?剃毛範囲に問題がないか、患者さんと病棟担当看護師に確認してみよう。」など、
術前に、より確実な情報収集ができ、病棟のフォローアップもできると思います。
術後の状態がわかる
これも病棟でオペ迎えをしていたオペなら、患者さんがオペ室を退室した後に、術後どのような状態になるのかを知っていますよね。
多くの患者さんは、術後自分がどのような状態なのかに関して、不安を抱えています。
- どれくらいで目が覚めるのか
- 起きた後はどれくらい痛いのか
- 痛みはどれくらい続くのか
- 痛み止めはどれくらい使えるのか
- 手術の後、どれくらいで動けるようになるのか
もちろんこういったことは、病棟ナースからも説明がされているとは思いますが、手術入室から退室まで患者さんのそばにいるのは、病棟ナースではなくオペナースです。
患者さんが欲しい時に欲しい説明をしてあげられるのは、もしかしたら病棟経験のある私たちかもしれません。
また、術前訪問では患者さんに、手術の流れや起こりうるリスクについて悦明を行います。
挿管チューブによる喉の痛みや、術中体位による褥瘡リスク部位など、実際にその場面を見ているオペナースは、なぜそれが起こるのかについて、より根拠を持って具体的に説明することができます。
プラス、病棟経験があれば、そういった苦痛に対して術後病棟でどのように対処していくかを具体的に説明することができます。
そうすると患者さんも自分にいつなにがどうして起こるのか、それが起こった場合にはどうすればいいのかについて想像できやすく、安心に繋がりますよね。
フィジカルアセスメントに強い
フィジカルアセスメントとは、問診、視診、触診、聴診、打診の5つの方法を用いて、身体的健康上の問題を明らかにするために、全身の状態を系統的に分析する方法をいいます。
病棟で患者さんを受け持つ時、ただバイタルを測って、その値が正常値範囲内なら問題なし、という見方はしていませんよね。
普段はSpO2:98%くらいある患者さんなのに、今日は94%しかない。
本人は苦しくないと言うけど、湿性咳嗽が出てきているし、胸部聴診したら右に副雑音がある。
昨日から食形態が変わって、誤嚥の可能性があるかな?
今朝の採血結果で炎症値は上がっていなかったかな?
上は一例ですが、看護師は、色んな情報を整理して、追加で必要な情報は何かを考えて、今この患者さんに必要なことは何かを考えながら、毎日働いていると思います。
これは一石二鳥で身に着く能力ではなく、色んな患者さんを見て、実際に接して、失敗や成功経験を繰り返したことにより得られていくものだと思います。
病棟経験のあるナースさんは、この点で非常に強いです。
術中の患者さんには、心電図・Aライン・CVPライン・体温センサーなど、あらゆるモニター類が装着されています。
検査値を見ていて異常がなければ大丈夫、といった構えになってしまいがちです。
オペ室内には絶対に医師がいますから、患者さんの状態に変化があった場合にも、対応を看護師だけで行うことは少なく、指示をもらえる場合が多いです。
もちろんオペ室経験の長い先輩たちはオペ室内でもしっかりフィジカルアセスメントを用いて実際に患者さんを見て触れて、ってしていると思うんですが、
私は手術自体に集中してしまいがちで、病棟時代と比べると患者さんのことを考えている時間が少なくなってしまい良くないな…と感じています
モニター上の検査値や医師に頼りきりにならず、看護師としての視点を持ち患者さんに接さなければならないのは、病棟ナースもオペナースも一緒です。
例えば術中の褥瘡予防や体温管理は、看護師が主導権を持って行っていきます。私たち看護師にしかわからないこと、モニターだけでは得られない情報、たくさんありますよね。
病棟時代の視点や勘が鈍ってしまわないように、有効活用していきたいですね。
患者さんとの関わりが得意
- 短い時間でも必要な情報を自然に引き出す
- 緊張している患者さんをリラックスさせる
- 大事なことを真剣に聞いてもらう。
病棟ナースさんは、こういった関わりが得意ではありませんか?
患者さんとの関わりの中では、色んなコミュニケーションテクニックが必要だと思います。
これも、フィジカルアセスメント同様、すぐには身に着かない能力ですね。
オペナースは、術前訪問・麻酔導入前・麻酔覚醒後と、起きている患者さんには短い時間でしか関わることができません。
だからこそ、その短い時間でも病棟でのコミュニケーションテクニックを活かして情報を引き出したり、緊張を和らげたりできるといいですよね。
病棟ナースの大変さがわかる
私の勤務するオペ室では、オペ経験が長い先輩が、手術の申し込み表が入室10分前になっても入ってないとか、退室でお迎えを呼んだのに中々迎えに来ないとか、怒っている場面を目にすることが多々あります…。
職場環境が全く違うので、どちらも経験がないと、双方の大変さや忙しさを具体的に想像することは難しいです。
でも、病棟だって忙しいですよね。
申し込み表なんて出る直前に急いで入れることも、配膳どきと被っていればお迎えが遅くなってしまうこともあって仕方ないです。
実際に病棟経験があり実際にこういうことを想像できれば、広い心で待つことができます。困った時はお互い助け合い、です。
オペ室に異動してからは、病棟ナースもオペナースにもうちょっと優しくしてよ…なんて思ってしまう場面に遭遇することも。
お互いの状況や環境が分からなくても、理解しようとする心が大切ですね…笑
実際は、強みを活かせるようになるのは少し先かも?
以上、病棟経験のあるオペナースの強みについてお話してきました。
異動直後であれば、始めは器械を覚えたり、オペ室内の業務を覚えたりすることで精いっぱいだと思います。記事で紹介したような強みを活かせるようになるのは、もう少し先の話になるかもしれません。
でもあなたが病棟で得てきた経験や、大切に築いてきた看護観が、無駄になってしまうことは絶対にありません。麻酔で眠っていても、患者さんと関わる機会は毎日ありますし、外回りとして術前後も患者さんに関わるようになればその機会もどんどん増え、濃くなっていきます。
この記事を読んで、少しでも自己肯定感が戻ってきてくれていたら、幸いです。
過酷な環境かもしれませんが、一緒に頑張っていきましょう!
ここまで読んでくださって、ありがとうございました😚